全段通しリーディング 仮名手本忠臣蔵

遊戯空間公演


12月20日(金)、21日(土)

浅草・木馬亭

~大序から討入まで一気に語り尽くす渾身の舞台~

出演:佐々木梅治(劇団民藝)

   側見民雄(演劇集団阿吽)

   をはり万造

   渡辺聡(劇団俳優座)

   坂詰貴之

   中嶋義広

   久堂秀明

   大沢一起

   丸本育寿

   篠本賢一

   

   観世葉子

   神保麻奈

   渕野陽子(劇団青年座)

   大黒谷まい(劇団民藝)

 

照明:青木慶太

写真:宮内勝

ビデオ撮影:大塚登(東京舞台映像)

宣伝美術:前嶋のの

制作:高橋俊也(THEATRE-THEATER)


人形浄瑠璃、歌舞伎の名作『仮名手本忠臣蔵』、この魅力溢れる作品を現代演劇のレパートリーにすることはできないか、このたびの企画はそんなことを考えての試みで、昨年に続き、今回が二度目の上演となります。

もともと人形浄瑠璃からはじまった『仮名手本忠臣蔵』ですから、台本には、「せりふ」以外に「地」というものがあって、人物の行動、情緒、あるいは、情景が描かれています。人形浄瑠璃では太夫という語り手が「せりふ」とともに「地」を語り、人形が所作を表現します。また、人形浄瑠璃を歌舞伎にした所謂「丸本」歌舞伎では、「せりふ」は役者が所作を交えて言い、「地」は太夫が語ります。場面によっては太夫が「せりふ」も言うことがあります。現代演劇として、この「地」を如何に表現するかがこの企画の課題ですが、今回の演出では、「地」を役者と語り手が分担することにしました。これは映像表現におけるアップ、ロングのような効果を狙ってのものです。

『仮名手本忠臣蔵』は、竹田出雲、三好松洛、並木千柳ら『菅原伝授手習鑑』、『義経千本桜』などの名作を残した三人組の共作ですが、「塩谷判官」「早野勘平」「加古川本蔵」らのエピソードは、三人それぞれが担当し、それをつないで一つの物語にしたということです。「塩谷判官」は、史実の浅野内匠頭のようですが、実はそうではありません。本来、桃井若狭助が負うべき運命をとある偶然から被ってしまった不運な男。「早野勘平」は、色に耽った負い目から何とか挽回を図ろうとしますが、これも運命に弄ばれ、命を落としてゆきます。「加古川本蔵」は、主人大事を思う行動をとりますが、やはり運命のいたずらか、偶然居合わせた長廊下での一件から「忠義にならでは捨てぬ命、子故に捨つる親心」という「忠臣」の逆をいくような行動をとらざるを得ぬ事になってしまいます。大星由良助の仇討を主筋にしながら、これらの人物のドラマをからめたからこそ、『仮名手本忠臣蔵』は、今に残る名作になったのだと思います。

幕末に歌舞伎が隆盛したここ浅草で、私たちの『仮名手本忠臣蔵』をお楽しみ頂けたら幸いです。   

篠本賢一(パンフレットより)