詩✕劇 つぶやきと叫び~ふるさとはいまもなお~

STORE HOUSE Collection  Excellent Works Vol.4

  

20243月20日(水)~24日(日)

上野ストアハウス

 

テキスト:和合亮一『詩の礫』より

構成・演出・美術:篠本賢一

   

出演:渡部ギュウ(東北えびす)

   藤田三三三

   渡辺聡(劇団俳優座)

   永野和宏(劇団新人会)

   大野裕生(劇団民藝)

   小栗真一

 

   中村ひろみ

   (演劇プロデュースとろんぷ・るいゆ)

   渕野陽子(劇団青年座)

   神保麻奈

   新澤泉(劇団民藝)

   髙山知寿

   (プレミアムエンターテイメント)

   篠田悦子

   三浦今日子(劇団うつり座)★

   大森智子(劇団うつり座)★

   ★はダブルキャスト

 

声の出演:和合亮一

音楽:藤田佐知子、柳澤康司

ダンス:石川弘美

  

照明:若林恒美 

音響プランニング:小森広翔 

音響オペレーター:小森広翔

         月見里リタ 

演出助手:渡会りえ 

舞台監督:服部寛隆 

舞台写真:宮内勝 

舞台映像記録:内田誠 

宣伝美術:Nono-type 

プロデューサー:木村真悟 

事務局:木村紀子 

    小形知巳 

制作:篠本翠 

協力:(有)創新企画 劇団うつり座 アトリエそら 丸山剛弘 山田健之

主催:(有)ストアハウス 

後援:仙台文学館

助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【東京ライブ・ステージ応援助成】

 



撮影 宮内勝


つぶやきが叫びになるとき

 

2011年春、東日本大震災の混乱がまだ続いていた頃、和合亮一さんからメールが届いた。そこに添付されていたのは、和合さんがツイッター(現・X)に投稿し、のちに「詩の礫」と命名されたものだった。読んで思った、「和合さんが、……大変だ」。和合さんの詩作にはかねてより愛着があったが、そこに記された一行一行は、和合さんの遺言のように鬼気迫るものであり、福島からのSOSのようにも思えた。東京に住む私に何かできることはないか。早速20名あまりの演劇仲間に声をかけ、「詩の礫」をテキストにして緊急公演をしようと発案した。しかし、福島から離れた東京に住む者にこれを語る資格があるのか、あまりにも生々しい言葉の数々を前にして、皆は戸惑い躊躇した。しかし、この悲痛なつぶやきを叫びにして社会に拡散すること、それも演劇人の仕事じゃないか、と半ば強引に7月公演を決めた。タイトルは『詩劇 つぶやきと叫び』。これを翌年に仙台で仙台の俳優たちとの共演で再演し、その後も和合さんの詩をたびたび演劇化してきた。2018年春、震災から7年後に再び『詩劇 つぶやきと叫び』を再演、その時の公演が、今回の「ストアハウスコレクション」につながった。機会をくださった上野ストアハウスの木村氏には、この場を借りて感謝申し上げたい。

さて、ご覧いただくこの作品では、現代詩『詩の礫』の言葉たちと、俳優たちの格闘をお目に掛けることになるだろう。演じるのではなく演じようとする俳優の言葉とのせめぎ合い。言わば演劇になろうとする演劇、それは「未演劇」とでも名付けることができるだろうか。役という衣をまとうのではなく、むしろ、俳優が発語すればするほど、俳優自身を露呈してまう演劇。俳優たちには、過酷な作業をお願いしたのだが、このテーマを舞台化するためには、必要な演出だったと考えている。この作品が皆さんの明日につながる何かになれたら。

 

篠本賢一(パンフレットより)

アフタートーク 木村真悟 和合亮一 篠本賢一


読売新聞夕刊 3月19日