全段通しリーディング 仮名手本忠臣蔵

遊戯空間公演

 

2012年12月12日(水)、13日(木)

浅草木馬亭

 

作:竹田出雲

  三好松洛

  並木千柳

構成・演出:篠本賢一

 

出演:佐々木梅治(劇団民藝)

   柘植英樹

   増山浩一

   篠本賢一(遊戯空間)

   渡辺聡(劇団俳優座)

   久堂秀明

   大沢一起

   丸本育寿

   渕野陽子(劇団青年座)

   秋葉舞滝子(SPIRAL MOON)

   花村さやか

   川居奈緒実(東京ハイビーム)

 

照明:青木慶太

宣伝美術:前嶋のの

写真:宮内勝

ビデオ撮影:大塚登(東京舞台映像)

制作:高橋俊也(THEATRE-THEATER)

 

私はこの「仮名手本忠臣蔵」を一昨年より、リーディングドラマとして上演してまいりました。「全段通し」と銘打っておりますが、そこにはいささかこだわりがあります。歌舞伎・文楽で現在行われている「通し上演」は、たいてい2、8、9、10段目をカットした短縮版で、「加古川本蔵」という重要な登場人物のエピソードが割愛されています。時間の都合などでカットせざるを得ないのでしょうが、この「加古川本蔵」は、松の廊下の刃傷の際、塩谷判官(史実では浅野内匠頭)を羽交い絞めにし、判官に止めを刺させなかったがために義士たちの恨みをかい、家族までもがつらい目にあうという、とても現代的な問題を内包している人物です。その本蔵一家と由良助一家の確執を描いた9段目「山科閑居」は、まさにこのドラマの核ともいうべき段落で、割愛しては「仮名手本忠臣蔵」の魅力が半減してしまいます。

また、10段目には、討ち入りの合言葉「やま」「かわ」にまつわるエピソードが描かれ、義士たちの敵討ちを市井の人々がどう感じていたかという、言わば外伝的な面白さがあります。そういった段落を余すことなく再現し、作者が描いた物語本来の素晴らしさをお目にかけようと考えています。  篠本賢一