遊戯空間・シアターⅩカイ提携公演
2017年2月16日(木)~19日(日)
劇場:東京・両国 シアターⅩカイ
作:竹田出雲
三好松洛
並木千柳
構成・演出・美術:篠本賢一
演奏:若月宣宏(太鼓)
設楽瞬山(笛)
丸山剛弘(チェロ)
出演
佐々木梅治(劇団民藝)
…大星由良助、与市兵衛女房
山谷勝巳
…高師直、与市兵衛
堀光太郎
…斧九太夫
渡辺聡(劇団俳優座)
…早野勘平
永野和宏(劇団新人会)
…桃井若狭助、竹森喜多八
望野哲也
…大星力弥
永井将貴(劇団昴)
…塩谷判官、矢間十太郎
草野峻平
…原郷右衛門、鷺坂伴内
中井亮
…石堂右馬丞、寺岡平右衛門
池上礼朗(劇団銅鑼)
…千崎弥五郎
鈴木拓也(劇団レティクル座)
…足利忠義、薬師寺次郎左衛門、斧定九郎、天河屋義平
篠本賢一(遊戯空間) …加古川本蔵
観世葉子
…大石いし、一文字屋
神保麻奈
…戸無瀬
渕野陽子(劇団青年座)
…お軽
秦由香里
…顔世御前
中込里菜…小浪
青木恵(劇団櫂人)
…腰元・仲居
福永奈津美
…腰元・仲居
照明:朝日一真
音響:山田健之
舞台監督:森山香緒梨
衣装:細田ひな子
ステージング協力:石川弘美
所作協力:寿美とも子
舞台写真:宮内勝
ビデオ撮影:大塚登(東京舞台映像)
宣伝美術:工房S
演出助手:沖田芳子
制作:高橋俊也(THEATRE-THEATER)
篠本翠(遊戯空間)
主催:一般社団法人遊戯空間
助成 独立行政法人日本芸術文化振興会
MEMO
日本には、能狂言、歌舞伎、文楽という世界に誇る伝統芸能があります。しかしながら、その演目を現代劇のレパートリーとして上演することは稀です。イギリスのシェイクスピアが四〇〇年を経た現在でも上演されているのだから、成立が同時期の歌舞伎の演目も新たな演出で現代劇の演目として上演できないか、そんな思いで活動を続け、一昨年は近松門左衛門の『心中天網島』を上演しました。
二〇一一年に日本演出者協会の企画で、リーディングの演出を担当してから、『仮名手本忠臣蔵』の魅力にとりつかれ、毎年年末に浅草・木馬亭でリーディング上演を行ってきました。今回は、満を持しての演劇公演です。
今回の上演では、リーディングのメンバーに加え、歌舞伎や文楽を観たことがないという若手も加わって、この作品を如何に現代劇と成すことができるか、日々稽古を重ねてきました。稽古を通じてあらためて感じたことは、『仮名手本忠臣蔵』というドラマの大きさと深さです。この物語は、討入を成し遂げた武士の成功譚、あるいは復讐劇というよりも、討入に至るまでの人々の苦節に重点を置いた人間賛歌の物語といえましょう。また、「四段目」「六段目」「七段目」「九段目」などが独立した一幕物として鑑賞できる歌舞伎の方法ではなく、各段を全体の部分として捉え、一気に物語が進行する構成にしました。私たちは伝統的な個人技で魅せることはできません。しかし、能狂言の「存在力」、歌舞伎の「描写力」、そして、現代劇の「交流力」を併せ持った演技のスタイルを模索し、物語の力を信じて、厚顔にも伝統芸能に対抗しようと思いました。
落語には、芝居噺というジャンルがあります。それはかつて、歌舞伎を芝居小屋で鑑賞することができない庶民の娯楽でした。ひとりの噺家が声色などを使いながら、作品をコンパクトにまとめ、原典の面白さを伝えるというものです。今回の上演には、そんな要素もあるかと思います。
日本には、現代劇がまだ手を付けていない魅力的な物語がたくさんあります。それをこれからも発掘し、現代劇の興隆に寄与していきたい所存です。ーパンフレットよりー
写真:宮内勝