小金井公園のアリス

遊戯空間サロンシアターVol.5

 

1996年8月17日~18日

なんでも小屋 NGOMA

 

原作:ロマン・ワインガルテン

  「リュクサンブール公園のアリス」より

構成・演出:篠本賢一 

 

出演:藤田三三三

   青木雪絵 

 

演奏:田中佐知子(ピアノ)

 


MEMO

ワインガルテンンの『リュクサンブール公園のアリス』は近年全く上演されることのない作品だが、その戯曲は魅力的な構造を持ったフランス不条理劇の傑作だと思う。設定をNGOMAにほど近い小金井公園に移し、現代日本の風俗を取り入れて上演した。ドラマは2部構成になっている。1部はアリスという少女の母親の独白芝居。母親の愛情が暴走した果てにそれは娘殺しにも発展しかねないという不安と恐怖、それが娘アリスの見ている悪夢として展開していく。2部は公園でアリスが不思議な男と出会い、世界の不条理を体験していく会話劇。原作に登場する不可思議な男は、リュクサンブール公園の彫刻に入っているのだが、本作では段ボールハウスに住むホームレスの男にアレンジした。母親と娘アリスの二役を演じた青木雪絵、段ボールの中で暮らす男を魅惑的な演技で展開した藤田三三三、この二人の濃密な演技がこの作品の現代化を支えた。


写真:田中佐知子